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2014.07.09

ぷよぷよ連載小説・第六話

どうも、ぷよ小説第六話です!

いよいよこの物語も折り返しを切りました、
今回はいよいよアルルたちがこの世界の真相にちょっぴり触れてしまうお話です!

あ、オリジナル設定に加えオリキャラもちらりと出てくるので苦手な人はご注意ください…。


第一話【夢の中での、再会】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-95.html

第二話【雨音と、羽音】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-109.html

第三話【異世界からの、来訪者】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-117.html

第四話【音が降る夜の、決意】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-126.html

第五話【邪なる聖者との、約束】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-141.html











【銀色の、支配者】









チュン…チュン、チュン…。

ボクの耳にまず聞こえてくるのは、小鳥の鳴き声。
重い瞼を開けると、そこには白い天井。

体を包んでるのは、ふかふかしたやわらかいベッドの感触。
頭にあるのは、大きな枕。

…どうやらボクは、王城のベッドで寝ていたみたいだ。
時計を見ると、針は八時半ちょうどをさしてる―――

って、もう八時半っ!?なんでこんなに遅起きを…
えっと、昨日は…何してたんだっけ?

確か昨日は大きなお祭りがあって、その中でボクらは悪魔に会いに行くために
こっそり王城を抜け出してその後悪魔(エコロさん)とは話をして…。

そのあと何事もないふりをして帰ってきて、またハーピーさんのコンサートを楽しんだんだっけ。
その後はまたたくさん御馳走を食べて、歌ったり踊ったりして…。

それで、夜が更けたころにこのお部屋に戻ってきたんだったと思う…。
いやでもさすがに8時半って…浮かれすぎちゃったかなぁ?

…ぐぅ~~。

ボクのおなかは元気みたいで、静かな部屋におなかの音が高く鳴った。
…とりあえずまぁ、おなかすいたなぁ。さて、今からでも朝ごはん間に合うかな?

そう思ってボクは、とりあえず寝巻きを脱いでお城で着せてもらってる
ワンピースに着替え、木のドアをくぐり抜けた。


朝ごはんを食べ終わって、ボクはまた白い廊下を通りぬける。
廊下に囲まれた中庭―――ボクがまだ通ったことがなかった中庭を通り抜けた。

そこはたくさんの岩が荒々しく積みあがっていて、
何だかお庭にに大きな岩山があるみたい。

なんとなく地面も砂場みたいになってて…色合い的に、『黄の司祭』さんがいた場所かな?
今はどこか遠くへ行っちゃってるんだっけ…ボクも見てみたいなぁ。どんな人なんだろう…。

「ちょっとー!やっと見つけたわよっ!」

ボクがぼんやりと考え事をしてると、背後からボクを呼ぶ声。
振り返ると、モップを片手に持ったキキーモラさんが軽やかに走ってきた。

「キキーモラさん、おはようございます!どうしたんですか?」

ボクがぺこりと一礼してから聞くと、キキーモラさんは何も言わずに肩で息をしながら
ボクの腕をぎゅっと掴んで引きずるように歩き出す―――って、ええっ!?

「ち、ちょっとっ、どうしたんですか!?」

「詳しい話はあと!まずは私についてきてっ!」

戸惑うボクを気にも留めず、キキーモラさんはボクの腕をひしとつかんだまま
すたすたと進んでいくのであった…。


着いたのは、クローゼットが奥まで続く大きな衣装部屋。
いっちばん奥には、ピンクのカーテンのかかったかかった大きな更衣室が見える。

「さぁ、こっちよ」

キキーモラさんの後をついて行きながらボクは、たくさんの
ドレスがかかったクローゼットに目を凝らしてみる。

どれもたくさんのリボンで飾られてたり、ひらひらのフリルがたくさんついてたり、
色とりどりで華やかなものばかりだ。

お城の舞踏会…っていうのかな?前に本で読んだことしかないからよくわからないけど
そういう時にお城の人たちはこういうのを着るみたい。

すごいなぁ、ボクには到底着られないんだろうなぁ…。そう思いつつ
ボクらはいつの間にか部屋の奥の更衣室まで来ていた。

更衣室の前には二人のメイドさんがいて、ボクを見るなり
「中へどうぞ、私たちが着付けします」と言ってボクを更衣室に半ば強引に押しこむ。

カーテンを開けて正面に見えたのは、金の装飾が縁取られた大きな全身鏡。
両サイドには…あっ!ボクのアーマーとか青いミニスカート!

「あの、これって…」

「この数日でこのメイドたちが仕立て直したものよ。着てごらんなさい」

キキーモラさんが言うと、メイドさんたちは表情を変えずに一礼。
そして堂々と更衣室に入ってくる…!?

「あ、あのっ、ボク一人で着替えられますよ…!」

「先ほど私たちは着つけると申し上げました。それでは」

二人のメイドさん、相変わらず無表情で気づいた時には更衣室に入り込んでいた。
まあ更衣室だってっ大きいから三人なんて余裕だけど…

「ここは簡易更衣室にございます。王家の方々の場所はまた別のほうに」

ボクの心を見据えたかのように、メイドさん二人は声をそろえて言う。てか、これでも簡易更衣室なんだ!
ボクが魔導学校にいた時の僕のお部屋の半分ぐらいあるけど…。

さすが王城、スケール大きいなー…と、ボクが一人で感心してるとメイドさんの一人は
右壁に掛けられたアーマーを、もう一人は左壁に掛けられたスカートとかその他もろもろを手に取る。

それから、ボクはメイドさんにされるがままに青いミニスカートを履かされ、白いノースリーブを
着せられた後にアーマーを…みたいな、まさに目にもとまらぬ早業でボクを着つけていく。

そして、5分もたたないうちにボクのお着替えは完全終了していた。
更衣室のカーテンから出てきた僕を見て、キキーモラさんは拍手してくれる。

「まぁっ、とってもお似合いよ!自分の目でじっくり見てみなさいっ」

そこで、ボクはメイドさんに着つけてもらってて碌に見れなかった全身鏡を見る。
すると、鏡に映ってたのは魔導学校にいた時のボクじゃないみたいなボクが映っていた。

「おおっ…!」

青いミニスカートには、これまでとは違って金色の縁取り。白いノースリーブの真ん中には
赤いラインが引かれてて、青いアーマーには、ふちに赤い宝石が散らばっててとっても豪華になってる。

「例の一件で、衣装がかなりボロボロになってたから代わりにと縁取りで
目立たなくしたけど…大丈夫かしら?」

「大丈夫、すっごく気に入ったよ!」

ボクは、興奮のあまりキキーモラさんに敬語を忘れてしゃべってしまう…。
が、キキーモラさんはにっこりと笑みを浮かべた。

「うんうん、やっぱりその衣装のほうがあなたに似合ってるわ」

どういう意味だろう?と思いながらボクがメイドさんにブーツを履かせてもらってると、
キキーモラさんが壁に掛けていたモップを手にとって言った。

「そういえば、図書館でシェゾさんとウィッチさんが待ってるって言ってたわ。
なんだか秘密の話があるみたいだけど…あなた、図書室の場所知ってる?
お城の裏の、山を上がったところなんだけど…」

「あ、はい!知ってます」

メイドさんが、ブーツの金色の金具を取り付けてくれると、ボクは立ち上がる。

実は、昨日―――お祭りの準備をしていたときにボクは指示されるがままお城中を駆け回っていた。
その時に、お城の窓からちらりとそれが見えてたのだ。

ボクが「あの建物はなんですか?」と、通りかかった兵士さんに聞くと
「ああ、あれは図書館だ。この国の中で一番大きい。特に、歴史の本が多いみたいだね」
そう答えてくれたのであった。

にしても、シェゾさんとウィッチさんがそんな所で何の用だろう?
とにかく行ってみるしかないかな―――。

「ありがとう、キキーモラさん、メイドさん!」

ボクは元気よく言って頭を下げ、その後走り出した。後ろからは、「気をつけるのよ!」という
キキーモラさんの声と「言ってらっしゃいませ、アルルさん」という、メイドさんの声が付いてきた。



その図書館に行くには、お城からいったん出なきゃいけなかった。
正面の門をわざわざ開けてもらうのもなんだか恥ずかしいから、ボクは裏のお庭に設置された
非常用の簡素な気のドアを開ける(珍しく、そこには何の飾りもついてなかった)

あのとき「場所わかります!」なんて言っちゃったけど…まぁ、
目的地は見えてるんだしそこを目指して歩いてみよう。

裏から出てみると、町は裏路地に入っていた。でも、パオーラの街の裏路地とはちょっと違って
赤い屋根のお家がずらりと並んでて、それぞれ洗濯物が干してあったりお花が飾ってあったりと
まちまちだ…けど、どこか明るい雰囲気を感じる。

なぜなら、裏路地の人々もみんな笑顔なんだ。赤ら顔で、新聞を歩き読みしてる怖そうなおじさんも
つかつかと前だけ見て歩いてくるお姉さんも、一人でボールを転がす小さな男の子も
ボクを見かけるとみんな笑顔で「こんにちは」と声をかけてくれるのだ。

ボクは王都の人々の暖かさに触れながら、とりあえず図書館はどこかなとあたりを見渡す。
確か、ボクが昨日見た時は西のあたりに…。

「…あった!」

思わず、声を上げていた。西のほうの、こんもりとした山に建物が見えたのだ。

すすけたベージュの壁、くすんだ赤い瓦の高い屋根。
ステンドグラスっぽい窓アーチ形の窓も見えた。

間違いない。ボクが昨日、王城でみた建物だ!
ちょっとその方角に走り寄って、なるべく近くから見ようかなとボクが思っていると…

「やぁ、こ・ん・に・ち・はっ」

後ろからふと、呼ばれた。声のしたほうへ振り向くと、そこには
ボクよりかなり年上の…18歳くらい?のお兄さんが立っていた。

緑色の帽子をかぶって、同じ色のコートを着てる。帽子の下からのぞく髪は銀色っぽくて、
その前髪で片目を隠している。

「もしかして君は、図書館に行きたいのかな?」

図星だ。もしかして王都の人々は、心が読めたりするの…?そうなの…?
ボクが思わずどぎまぎしていると、見かねたのかお兄さんは優しく言葉をつなぐ。

「ボクもちょうど、図書館へ行きたかったところなんだ。一緒に行かないかい?」

お兄さんが、帽子をかぶりなおしながら差し出した左手を取りかけたボクは戸惑った。
いきなり現れた人を、こんなににもやすやすと信じちゃっていいのだろうか…?

…いやでも、ボクはそんなに他人を疑ってる場合じゃないんだ!
ボクはお兄さんの手を「お願いしますっ」と元気良くとると、お兄さんは笑顔で

「そうか…じゃあ、さぁおいで!」

そう言って、飴玉を一つ差し出してくれたのだった。


お兄さんの名前はレムレスって言って、この王都にある大きな学校で勉強をしてるらしい。
実はかなり頭がいいみたいで、成績もクラスの上位に入るし、魔法も(!)得意なんだそうだ。

こういう人がクルークとかの目の前に現れたら、真っ先に飛びつくんじゃないかなぁ…。
きっとこういう人は、女の子にも人気なんだろうなぁ。


そんなことを考えながら、レムレスさんとおしゃべりしてるうちに(彼はすごく話し上手で
すぐ打ち解けられた…けど、お菓子をくれるのはちょっとありがた迷惑のような気もした)
あっという間に図書館についてしまったのだ。

「お疲れ様。ここが王都の大図書館さ!」

ボクは、レムレスさんが指さした建物に思わず息をのむ。

それは、ボクの予想より一回りもふたまわりも大きい。ボクたちがいる魔導学校も
そこそこな大きさのはずだけど、それよりこの図書館は大きかったのだ!

雨風に打たれて色あせてしまったベージュの壁も、崩れ落ちそうな瓦の屋根も、
建物の両側にいくつも取り付けてあるステンドグラスも、何もかもが大きい!

おまけに3階建てだし…まるで、小さなお城みたいな感じだ。

「おおおおー!」

ボクがいろんな所を見るべく走り回ってると、
レムレスさんは「ふふ」と微笑んだ。

「君を無事案内できたし、よかったよ」

「わ、わざわざ案内してくれてありがとうございますっ!」

ボクが、ニコニコ笑いを絶やさないレムレスさんにお辞儀をすると、
レムレスさんは「こちらこそ」といって手を振り、ボクより先に図書館のドアを開けて中に入ってしまった。

…そうだ!ボクもここに来るように呼ばれてたんだっけ。

ホントの目的を思い出したボクは、レムレスさんの後に続いて正面にある木の大きなドアを
開けようとした…けど、ボクが近づくとそれは勝手に開いたのだった。

「もうっ!アルルさん、遅すぎますわっ」

「全く…まぁ突然呼び出した俺達にも非はあるがな」

「シェゾさん…ウィッチさん!」

ボクは、図書館の扉から出てきた二人の名前を呼んだ。
ウィッチさんは腰に手をあてて、シェゾさんも腕を組んでぼくをじっと見つめている。

「あ…その、ごめんなさい…遅れちゃって」

ボクがぺこりと頭を下げると、ウィッチさんは「別に、そんなに気にしてませんわ」
とフォローしてくれる。(二人とも優しくて、よかった…)

「さて、お前には俺達と一緒にこの図書館で例の『悪魔』…エコロの事について
調べてもらおうかと思っていたが…二人で間に合ってしまった」

シェゾさんの言葉にボクは「あっ…」と声を上げた。ボクが提案したことなのに、
二人のほうが積極的に調べてくれてて…なんだか恥ずかしい。

「っていうか情報が少なすぎますの…この図書館は50万…いえ、それ以上の
本が置いてあるはずなのに、関連するような本はほんの50冊ぐらいしかありませんのよ」

「ええっ!?」

ボクはむしろ驚いた。50冊って…それってむしろ多いんじゃない!?
まぁ確かにこの図書館の蔵書数にも驚きだけど、ボクにとっては50冊っていう数字自体がすごい。

ボクがこの国一番のスケールにいちいち驚いていると、
今度はシェゾさんがため息をついた。

「しかもその本は、王城にもほとんどあったからな…だから読むのは簡単だったが
その残された本の中にも『悪魔』について記載された情報はごくわずかだった」

そこからのシェゾさんの話をまとめると…

・『悪魔』は、およそ4000年前から、別の世界を転々と飛び回っていたらしい。

・『悪魔』がこの世界にやってきたのはおよそ500年くらい前。

・その時の『悪魔』はまだ大人しく、ただ森の中に住みついていただけらしい。

・所がそれすら駆除しようとした町人に『悪魔』は激昂し、次の日町中の子供を全員
 連れ去ってしまった。

・ようやく子供たちを探し当てた時には既に、半分以上の子供が『悪魔』に食い殺されていた。

・それからというもの、『悪魔』はたびたび悪事を繰り返すようになり、人々は怯えて暮らし始めるようになったという。

「そんな…それって、もともとは悪魔じゃなくて町の人にも責任があるんじゃないか!」

ボクが思わず声を張り上げるのを、ウィッチさんが「落ち着いてくださいな」と制する。
でも…こんなのひどすぎる!確かに悪魔さんも子供を食べてしまったけれど、
最初に攻撃してきたのは町人のほうじゃないか…。

「エコロにあまり同情しすぎるのはよくありませんよ、アルルさん」

ウィッチさんが言った。

「『仮にも』エコロさんはこの国の人々の敵ですわ。あまり彼の肩を持つようなことを言っては…」

ウィッチさんは、ちらりと周りを見やった…そこでようやくボクも気づいた。
通って行く人々の、ボクたちを睨む視線に。

「…ここでは少々話しづらいな。場所を移動しよう」

この状況を察してくれたシェゾさんの言葉に、ボクらはうなずいた。


山の中。図書館からちょっと離れた場所の、うっそうと茂った木々の間をボクらは歩いていた。
ちょっと斜面が急になって、ボクは早速息が切れ始める。

「そういえばアルルさん、衣装を手直ししてもらったんですのね!とってもお似合いですわ。
ねぇ、シェゾさん?」

ウィッチさんに急に話しかけられたボクと、彼女に話を振られたシェゾさんは同時に「えっ」
と戸惑いの声を上げる。シェゾさんは、少し困ったような顔をしてから一度マントを翻し、

「俺はそういうのには詳しくないが…そのマントは軽そうでいいと思うぞ」

と、淡々と答えた。ボクはそこで、(今更ながら)初めてボクの背中ではためいてるものに気が付く。
そう、ボクの背中には青地に白い縁取りがあるマントが付いていた!
前までボクが着てたのにはなかったから、なんだか新鮮。

「ええ、私も身軽でいいと思いますわ!このローブももうちょっと豪華に仕立ててくれないかしらねぇ…」

ウィッチさんがローブの裾をつかんで「たとえばここにフリルとか…」と何やらぶつくさ
呟いている。それを見てシェゾさんは呆れたように銀髪をかきあげた。

「というかそもそもこんな話をしに来たわけではないだろう。
さて…実はさっき話した『悪魔』の史実にはいくつも矛盾点や気になる個所がある」

シェゾさんの言葉に、ボクはうなずいた。見るとウィッチさんも、真剣な表情だ。
するとその時。

………ドクン…。

ボクの心臓の音が急に高なった。一瞬ボクはびっくりしたけど、それはただ一回高なっただけで
終わってしまった。でも、なんだか…嫌な予感がする…。

「…?どうした、アルル」

「っ!いやいや、何でもないよ、何でも!」

シェゾさんが切れ長の瞳でボクを見てくるので、ボクは心配をかけさせまいと
ぎこちなく笑顔を作った。シェゾさんは若干首を傾げてからまた話し始める。

「実はな…本に書かれている『悪魔』の姿の描写がバラバラなんだ。
まぁ簡単に分けると2種類になるが…どちらも黒い衣服を着ているのは一緒だ。

ただし、500年前…ここの世界に来た時だな。その時から100年ほど前までの事が書かれた
本には『悪魔』は少女の姿で描かれている。見た目からして10~15歳くらいのな。

ただし、それ以降の出来事を書いた歴史書には、『悪魔』は青年の姿で描かれていた。
そう…恐らくお前らの知っているエコロの姿だ」

「え…ということは、『悪魔』は二人いるってこと?」

ボクは身を乗り出した。だって、異なる姿の『悪魔』が発見されたってことは
『悪魔』はこの世界に二人存在してるってことじゃ…

「それが、どうやら違うみたいですのよ。

実は今から100年ほど前…そう、『悪魔』の描かれ方が変わったころですわね。
その時に青年の『悪魔』が現れたのですが、そうしたら少女の『悪魔』が現れなくなったじゃありませんの!

その時から、『悪魔』の街人に対する態度も変わってしまいましたわ。少女の『悪魔』は
人々を邪悪な魔法で翻弄し、夜な夜な様々な街に現れては人をさらって食べてしまっているみたいでしたわ。

でも逆に青年の『悪魔』は毒の能力を極力使わないようにしていた、
慎重でどこか謙遜する態度もとった大人しい性格でしたの。でもそれのせいで逆に
長年溜まった人々の恨みのはけ口になってしまい、山奥で日々街人たちの暴力を受けていたそうよ。

まるで別人だと思ったとある町の偉い魔法使いが調べてみたところ、彼らは
全く同一の魔力を持っていたそうですわ。どうやって調べたのかは、謎のままですが」

「そんな…ひどすぎるよ、やっぱり!」

ボクは、ウィッチさんの話に思わず叫んだ。だってそうだよ、『悪魔』は(多分)
同一人物だとして、人が変わった悪魔にそこまでしなくても…

…ドクン…ドクン…!!

その時、再びボクの心臓が高なった。しかもさっきより強く…!
それになんだか、向こうのほうから変な魔力が感じられる…ような…。

そんなボクにかまわず、今度はまたシェゾさんが話し始める。

「そして、気になる点が一つ。実はこの世界は4000ほど前まで『大いなる神』が守っていたらしい。

4000年…これは、ちょうど『悪魔』が世界を転々とし始めていた時期と同じだ。
そしてちょうどその時、『大いなる神』はどこかに姿を消してしまったと言い伝えられている。

『おおいなる神』は、この世界…時空を加護する存在であった。彼女―――
史実では女になっているのだ―――は、そこに存在するだけであらゆる『魔』を受け付けない。

『悪魔』はもちろん、『魔法』や『魔術』だって彼女がいた時は存在すらしない言葉だった。
だがある日を境に彼女の加護が消えたことで『魔法』が広まり、同時に『悪魔』も入りこめるようになったという。

その後、彼女はどこに消えたのか。それは世界中の歴史学者が今も調べているが
いまだに不明だそうだ」

えーっと…久しぶりに長い説明があったからいまいちよくわかんないけど要は…

『大いなる神』っていう人がいなくなった時丁度に『悪魔』の存在が確認されて、
その『悪魔』は全く性質が違うけど同一人物の可能性が高い…ってこと?

うーん、やっぱり頭がこんがらがってきた…
…というより、ボクらはずいぶん山を登ってきたんだなぁ。

ふと周りを見渡して気づいたけど、気がつけば空を覆い隠していた木々にいつの間にか隙間ができてて
その隙間から洩れる木漏れ日がまぶしい。ボクが頭の中でいろいろ整理しようと、
とりあえず一つ深呼吸をしたとき…。

………ドクン…ドクン…ドクン…ド…クン!!

また心臓が激しく鳴り始めめる。なんだか息苦しくなってしまったボクは、
思わず走り出す。果てしない山の斜面をずっとずっと登っていく。

「おっ…おい、アルル!どこへ行くんだ!?」

「アルルさん、お待ちなさいましっ!」

後ろからシェゾさんとウィッチさんの声が聞こえたけど、ボクは走る足を止めなかった。
山を登るごとに、心臓の鼓動は音を、そして速さを高めていって…。


何分走っただろうか。ようやくボクは、息を切らしながら山の頂上にたどり着いた。
すぐに、シェゾさんとウィッチさんのかけ上がってくる足音も付いてくる。

その山の頂には、洞窟のようなものがあった。ちょうど山の頂上は平地で、
でも真ん中には大きな岩場がある。その岩場には大きな穴がぽっかりと開いている。

「アルルさん…っ!もうっ、急に走り出して、どうしちゃったんですのっ…!」

「そうだぞアルル、さっきから思っていたがお前、様子がおかしいぞ?」

同じく山の頂上に辿りついたシェゾさんとウィッチさんが、口々に言う。
ボクは「ごめんね、二人とも」といって、その洞窟に駆け寄る。

岩場に触れると、それはひんやりとしていて冷たかった。
同時に、ボクの鼓動はさらに早まるのを感じる。

「シェゾさん、ウィッチさん…一つ、お願いしてもいい?」

「なんだ?」「なんでしょう?」と二人とも同時に言ったのを見て、ボクは体の向きを変えて
二人の目の前まで歩いた。いまだに疑問がありそうな二人の顔をみつつも、
ボクは二人の手をそれぞれつかみ引っ張る。

どこに行くのかといえば…岩場に空いた穴。ボクは、そのまま穴に向かって大きくジャンプして―――
思いっきり飛び込んだ。シェゾさんとウィッチさんも、ボクの手に引っ張られるままに。

「びょえぇっ!?」

「うぉいっ!」

一拍置いて、これまた二人とも声をそろえて叫ぶ。驚いたのも無理はない…
なぜって、洞窟の中はどこまでもどこまでも続いてそうな垂直の穴だったからだ!

「ひゃああああぁぁぁぁ…っ!!」

ボクももちろん声を上げた。それでもボクらは穴の中を一直線!
ひゅーんと、どこまでもどこまでも下へ落ちていく。

「あ、アルル!さっきから何を考えているんだっ!」

「ご、ごめん!それがボクにもさっぱり…」

…そう、あの時ボクは鼓動が高鳴るままに夢中で山を駆け上がっていた。
それに、この洞窟に入るときだって何にも考えず、無意識で…。


どうあがいても、ボクらは垂直に続く穴の中を落ちていく。
するとその時、再び心臓がドクンと高鳴る音がする。それと同じくして、背筋がぞくりとする。

「…とてつもない魔力を感じますわ!気を付けてください!」

ウィッチさんが叫んだ、次の瞬間―――。

下から、変な生き物がたくさん湧き出てきた。
赤黒くて、生臭くて、大きくて、腐った肉の塊みたいなやつが、何匹も―――!

…ドクン…!
ボクの心臓が鳴る。

すかさずシェゾさんは、剣をふるい応戦する。ウィッチさんも、今まで忘れてたとでもいうように
あわててほうきに飛び乗って、スピードをコントロールしながら生き物に立ち向かっていく。

…ドクン…!
ボクの心臓が高鳴る。

二人は、深い深い穴に落ちながらも空中戦を繰り広げていた。
ボクは、落ちながらもバランスをとるので精いっぱいで、応戦どころじゃなかった。

…ドクン…ドクン…!
ボクの心臓が高鳴り、徐々に早くなっていく。

でも、ボクも何かしたい…するとその時、シェゾさんが動いた。

「っ…いくぞ!アレイアード!」

剣の切先から禍々しい真っ黒なボール(?)みたいなものが放たれる。
それは生き物を次々と、ぐにょりと包んで消滅させていく。

「さっすがシェゾさんですわね…私も負けてられませんわ!ミルキーウェイ!」

ウィッチさんがそう言って人差し指を立てると、瞬く白い星星が
敵を浄化して消し去っていく。

二人とも、すごい…魔法を使いこなしてる!しかも空中で!
そうボクが感心していると、いきなり目の前に、その生き物が現れた―――

って、やばっ?!

ボクがあわてて身を翻すと、相手の体からぬめっとした粘液が噴き出す。
それはボクの頭のてっぺんをかすって向こうの壁に当たる。

すると、なんと粘液が当たった壁がじゅわぁぁ…と音を立てて溶けてるじゃないか!
物を溶かす効果があるみたいだ、アレ!!

ボクは、正面の敵の攻撃を右によけ左によけとただ翻弄されていた。
でも、この調子ならっ、何とか逃げ切れる…かも…!

「アルルッ!後ろを見ろッッ!!」

シェゾさんの叫び声がちょっと下から聞こえる。
すかさずボクが後ろを振り向くと―――

奴がいた。体にねっとりと粘液をたぎらせてボクに忍び寄ってたみたいだ…!
どうしよう、どうしよう。ボクは二人みたいに攻撃魔法なんて使えない。
魔導学校でだって基本呪文を唱えるのが精いっぱいだ。でも…

ドクン…………。
ボクの心臓が、今までにないほど大きく鳴った。

今なら、何か出来そうな気がする!
何か、今までボクにできなかった何かが…!

体から、魔力がみなぎるのを感じる。ボクは恐る恐る両手を前に突き出して、
大きく叫んだ。

「………ジュゲムッッ!!」

思いっきり息を吸い込んで、呪文を唱えた。ボク自身でも、見たことも聞いたこともない魔法だけど…。
それの威力はとても大きくて…唱えたボクすらも凄まじい爆風にのまれて…。

ものすごい爆発音。たぎる熱風。
いつの間にかボクは、そっと目を閉じていた。



微かに、耳鳴りがする。恐る恐る目をあける。
暗かった。まだ目が慣れてなくて、あまり辺りが見えない。

とりあえず起き上がってみる。ここは…洞窟なのだろうか?
どことなく湿っぽいし…もしかしてここが、あの深い穴の一番下なのかな!

「あら、目が覚めたのね」

そこで突然後ろから知らない声に声を掛けられて、ボクは思わず振り向いた。
そこに立っていたのは、暗がりの中でもシェゾさんでもウィッチさんでもないことがわかった。

そこにいたのは、銀色の髪を上のほうで二つに結んで
黒い衣装を着た…少女だったのだ。




続く




はい、というわけでぷよぷよ連載小説第6話です!

今回も割と説明いっぱいでいろいろ盛りだくさん(グダグダ)な回です。
しかも肝心の(割と出したかった)オリキャラが全然出せませんでした、
ラスト数行だけという…

でもまぁ次回ではかなり出番も増えますし、そのうち(望まれてない)設定画も
出そうと思うので、お楽しみにっ。

さてさて次回は、アルルさんが移動しまくりたくましくなりすぎの回になると思われます!
次回公開は8月の上旬ごろになりそうですので、半分くらいご期待ください。
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この記事へのコメント
こんにちはー

ぷよ小説を読ませて頂きました!


風邪が治って良かったです。^^
薬の副作用が大変ですね……。無理はしないで下さい。

私のリクエスト小説は、完全に体調が良くなってからで良いですからね。
Posted by エーデル at 2014.07.10 08:40 | 編集
エーデル様>>

おお、過去の記事も読んでくださったのですね。ありがとうございます!

実は今回のぷよ小説、風邪でぶっ倒れる前に大体できてたんですよ。だからできる限り誤字を修正して
今回出した…という形にさせてもらいました。リクエストいただいたマギ小話は
現在執筆中なので、気長にお待ちくださいな。
Posted by あらあら at 2014.07.10 22:47 | 編集
始めまして。

ギャグタッチのぷよ小説を書いてるたかあきという者です。

小説読ませていただきましたーいやースゴイ高クオリティで俺なんか足元を見ることすら叶わない感じですね。うん。

次も楽しみにしてます!頑張ってください!
Posted by たかあき at 2014.07.11 18:28 | 編集
たかあき様>>

初めまして、ブログ訪問ありがとうございます!

たかあき様のブログも拝見させていただきました、私には逆にああいう勢いのある小話が書けないので羨ましいです。
これからも、こんなへっぽこブログをよろしくお願いしますー。
Posted by あらあら at 2014.07.11 23:21 | 編集
>>ぬめぬめ
>>ぬめぬめ
(╹ヮ╹)ガッタァァァァン!!

森の中で乱暴されるエコロ……町のやつらなんてひどいんだ許しておくわけにはいかないなぁ(´◉◞౪◟◉)

けど同質の魔力なら町の人も気づかないし仕方ないね、いいぞもっと(ry

>>8月上旬~~
サタエコ小説まだですか(小声
Posted by マキJOY【伝説の超健全紳士】 at 2014.07.12 10:12 | 編集
マキJOYさま>>

一応敵キャラはSFとかにいそうなクリーチャーを想像してやってください(小声)
乱暴というよりアレは拷問に近いものがあるかもしれません、まぁ長年の恨みもありましたし…。
Posted by あらあら at 2014.07.12 23:53 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
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