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2015.03.20

ぷよぷよ連載小説・十二話

一週間ほどブログ自体更新せず申し訳ありませんでした。
このブログを楽しみにしてくださっていた方には深くお詫び申し上げます。



…さて、ぷよぷよ小説第12話です!

いよいよ物語も大詰め、アルルは大切な仲間にお別れの言葉を残しながらも先へ進みます。
今回は魔導学校メンバーが繰り広げるアクションシーンに注目です!



第一話【夢の中での、再会】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-95.html

第二話【雨音と、羽音】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-109.html

第三話【異世界からの、来訪者】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-117.html

第四話【音が降る夜の、決意】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-126.html

第五話【邪なる聖者との、約束】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-141.html

第六話【銀色の、支配者】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-149.html

第七話【支配者からの、難問】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-165.html

第八話【硝子瓶の中の、操り人形】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-174.html

第九話【彼女が、眠りから醒めるまでは】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-179.html

第十話【宙の中の庭での、決闘】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-192.html

第十一話【歪な道を、駆ける少女】

http://araaranooniwa.blog.fc2.com/blog-entry-196.html


それでは、追記よりどうぞ!








【虚無の世界で交わした、希望】










長い長い廊下を、ボクとアミティが駆けていく。

すると、目まぐるしく戦っているラフィーナとクルークがぐんぐんと近づいてきた。

周りには常に何体かの人形が飛びまわっていて、
それを相手に二人は激闘を繰り広げていた。

クルークは、魔導書を片手に持ちもう片方の手で魔法の力をコントロールしている。
手を相手に振れば、魔導書から浮き出た魔法陣から放たれる闇の魔力が相手を強襲する。

ふりあげれば魔力は上へと固まっていき、ある程度まとまって真っ黒なボール状になったところで
再び降り下げれば、魔力は相手に向かって一直線。

ボールが人形を包みこんだところで開いていた手をにぎると
魔力のボールがぐしゃりと相手ごとつぶれた。そこから追い打ちをかけるように、
追尾型(っぽい)魔力が逃げる相手をいつまでも追いかけていった。

一方のラフィーナは、人形相手に自慢の対術で挑んでいる。

「食らいなさい!シエルアークッッ!!」

正面から向かってきた相手に、挨拶代りにと鮮やかな一蹴り。
蹴りは相手の一人の腹部へと直撃し、相手は軽く吹っ飛んだ。

その隙を突いて、さらに追い打ちをかけるべくパンチを繰り出した。
ラフィーナがその一帯に集中している間に、もう一体が足元に回り込む。

が、ラフィーナはそれにものともせず、素早く腰を落としてローキック。
さっきの一体も巻き込んでの鋭い蹴りには相手も一瞬ひるんだ。

「フン、隙だらけさ。それっ、ネブラ・マクラッ!」

クルークがとどめに闇の魔導を横から打ち込むと、
その攻撃により、一体の人形の顔がひび割れ、そして―――見事に内面からパラパラと崩れた!

それでも人形達の攻撃は止まない。味方を一人減らされているのもあり、
今度は本気というように、手に持った細く長いステッキのようなものを振りかざし、魔法を繰り出す。


そこへ、ようやくボク達二人がラフィーナ達の元へ追いついた。

「ラフィーナ!クルーク!」

駆け寄ってくるボクの声に反応し、二人は目線をこちらに向ける。
(勿論、ラフィーナもクルークもその攻撃する手を止めないまま)

「アルルさん!やっと…来ましたのね!遅すぎ、ですわっ!」

ラフィーナは、目線をたびたびボクに向けながらも鮮やかな体術の連続攻撃は止まない。

向かってくる相手のステッキを蹴りで弾き飛ばした後、
さらにと襲いかかる人形の側面に切り込んでアッパーカット。

そしてそこから間髪いれずに足をスイッチ。支店の軸足の回転を増しながらのバックブロ―。

今までの特訓の成果とでも言うように、目にもとまらぬ速さで体術による攻撃を打ちこんでいる。
ちなみに、ものすごい戦いぶりを発揮しているのは、クルークだって同じだった。

場所こそ大して動いてないけど、いろんな方向から襲いかかる敵相手に
くるくると―――ステップでも踏むかのように―――対応して、魔導書を手に魔法陣を繰り出している。

あまり接近していても危険だと思ったのか、アミティが一歩離れた場所に立った。
幸い、人形たちは戦いに夢中でボクたちに気付いてないみたいだけど…。

万が一の事もあるかもしれない。ボクはいつでも魔法が使えるように、すっと姿勢を落とした。

「全く―――呆れたよ、キミって奴には」

ふと、クルークが口を開いた。

「突然に学校から消えて、皆がどれだけさがしたと思っているんだ?

まぁボクはそのうち帰ってくるとは思ってたよ。キミは…いつもそうだったからね。
あの時のボクには、キミが王城まで行っているとも知らずさ。

まったく、ボクみたいに天才的な力を持っているわけでもあるまいキミが
こんな行動に出るなんて、そりゃあ想像もつかなかったさ。

…キミは、いつもいつもそうだ。いつも自分には割の合わない無茶な事ばかりする」

「でも、それもあなたらしさですわ、アルルさん」

ラフィーナが、珍しく優しい声で言った。

「確かに、あの後あなたが学校にどれだけ迷惑をかけた事か!

皆さんはおろか、先生にまで心配かけて―――実際今こうして戦ってるのも私たちですし。
ですがあなたは、自分の本能のままに動いただけですわ。

貴方はもともと違う世界にいた事だし、そこにはあなたの家でもなんでもあるでしょう。
自分の居場所に変える。人間としてのとても大事なことだと思いますわ!

だからわたくしは止めませんわよ。ただ――――」

そこで、ボクの目の前人形が飛び込んできた。
ボクが魔法を繰り出すよりも早く、ラフィーナが横の方へそれをパンチで吹き飛ばす。

「このわたくしがこうやってサポートしているんですのよ。アルルさんにもちゃーんと
目的を果たしてもらわなくちゃ!…ですわ!」

再び定位置に戻ったラフィーナを横目にしたクルークも、うんうんとうなずく。

「その通りだ。今の君には、君に似合わないほどの数々の人の期待を背負っているんだ。

王都の人たちだけじゃない。先生にリデルにシグ。あのラフィーナだって心配してやっていたんだよ、
そりゃあもうあいつの憂さ晴らしのパンチで、犠牲になる山の木はいつもより多いくらいで…」

「ごたごた言ってんじゃねぇ!…ですわ、このひょろひょろメガネ!

あなただってアルルさんがいない間、『失踪した友達を救うには』とか
『遠く離れた人の魔力がわかる魔法』とかの本ばかり読んでいたくせに!」

「な…んだとぉ!?人のそういう事を勝手に暴露するなこのムキムキ女ーっ!」

「あなたが最初に言ってきたんでしょう、自業自得ですわっ!!」

「もう、ちょっとやめなよ二人とも!ほら、アルルも困ってるよ!?」

相も変わらずわーわー喧嘩する二人に、アミティは焦り顔。
…でも、ボクはそんな二人が見られて、正直うれしかった。

元々いまいち反りが合わなくて喧嘩の絶えない二人。その喧嘩を呆れながら
眺めてたりっていうのがボクの魔導学校ではよくある光景だった。

昔は…実を言うと、本当に迷惑に思ってた部分もあった。だけど、
今は、そんな光景がみられてなんだか安心だ。

「…さぁアミティ、そろそろ先へ向かわなきゃ!リデルやシグも待ってるんでしょ?
それだったら、早めに行かないと」

ボクがアミティに手を差し出し、アミティはうなずいてボクの手ををとった。
魔法と魔法のきらめきの間をどうにかすり抜けて、ボクらは駆け足で前へ進んだ。

ラフィーナ達とすれ違う、その瞬間に。

「ありがとう、ラフィーナにクルーク」

ボクは最後の別れのあいさつを残した。
二人はボクの方とちらと見ただけだった―――信じてる、という目で。

上手く人形達を撒いてしばらく走り、振り向くと二人の戦っている姿がぐんぐん遠ざかっていく。
長い長い通路の遠くまで行ってしまうのを見送った後、ボクは正面を向いた。

…と、その時!

「うわっ!!」
「わわっ!?」

―――ボクらの目の前に、2体の人形が立ちはだかった。
急に現れたもんでびっくりしたボクらは思わす一瞬尻込みする。

その隙を見つけ、少女人形たちはスカートの中からあの細いステッキを取り出して
魔法を繰り出す態勢に入った。

大きくそのステッキがふりあげられ、その先端には虹色のキラキラした靄のような
何か―――とんでもない魔力を感じるから、おそらく魔法の力―――が固まっていく。

…危ない!

危険を感じたボクとアミティは、とっさにこちらも魔法を放つ準備をする。
片手を前に突き出してを片足をぐっと踏み込む。

とりあえず目くらましにでもなればいい…という訳で、火の魔法「ファイヤー」の姿勢をとった。
相手がその靄をこちらに向けて放つのと、ボク達がもう一歩踏み出して魔力を放出した
タイミングはほぼ同じだった。

ボゥンッ!

靄とファイヤーがぶつかりあって爆発音を立てた。同時に上がる黒い煙に、
ボクは思わず目をつむってしまった。

次の瞬間目を開けると…そこには、煙をものともせずこちらに突進してくる人形の姿。

「…っ!!」

ボクは、攻撃の反動で一瞬動けないアミティにとって代わり、前にしゃしゃり出た。
人形に向かって両手を突き出し、魔力を指先に集中させる。

そう―――あの時ウィッチさん達と一緒の時にできたように、
そして、ついさっきアリアとの戦いでも出来たように―――

もう一度『ジュゲム』を打てれば、この場を打開できる!

…いや、ダメだ!
この場にいては、アミティも巻き込んじゃうかもしれない。

ただでさえとっても魔力を使う魔法なのに、此処で全部使い切ったらボクの体も持たないし。
じゃあ、ボクはどうすれば…?

「アルル!あたしの手を!」

ぐっと、ボクの横にアミティの腕が割り込んできた。

「早く!!」

言われるままにボクがアミティの手とつなぐと。

アミティは思いっきりジャンプした。
それも、ただのジャンプじゃない…それよりももっと高く!

「もっともっと…アクセル!」

キィィィ…ン…と澄んだ音がすると、アミティの体全体がほのかに青白く光る。
それに引っ張られてボクも空中へ高く投げ出された。

滞る煙を突き抜けて、薙ぎ払って。

『アクセル』…ボクが魔導学校にいたころから、たびたび聞いていた呪文。
唱えるたびに自分の魔力をより高める事が出来る「魔力増幅」の効果を持つ魔法だ。

ただしその便利な効果故、使いこなせるようになるにはそれなりの練度が
必要で…ボクが魔導学校にいた間、少なくともアミティはそれを使いこなせてなかったんだけど。

「へへっ、すごいでしょアルル!」

アミティが口を開いた。

「あたしね、アルルが王城にいるって聞いてから、ずっと練習してきたんだよ。
だって大切な友達が頑張ってるのに、何にもしないわけにはいかないでしょ?

だからずっと魔法の練習したんだ。ちょっとでも役に立てるように…
ほら、あたしって元々魔法も全然できなくて、成績もダメダメだったからさ。

人並み以上の努力をしないとなって思ったの!」

「…アミティ…」

アミティが、ボクの知らないところでそんな努力をしていたなんて。
しかもボクのために…。

ラフィーナやクルーク、そしてアミティ…今までボクは『みんなが期待してるから頑張らなきゃ』って
漠然と思ってたけど、それが実際に本人達の口から話されてみてようやくわかった。

ボクは『皆が期待してるから動いている』わけじゃない。
皆が『ボクの行動を見て期待してる』んだって。

おんなじことなのかもしれないけれど、全然違う。

ボクが動けば、皆が期待する。皆が期待すれば、ボクの行動力になる。
こうやって、ボクを含めた皆が動いているんだ。

「でもね、頑張ってるのはもちろんあたしだけじゃないよ」

ふっと空中で静止して、下降する感覚。高く高くジャンプしたぼくたちはギリギリの高さまで来た後に、
地面に向かって落下している途中にあるみたいだ。

なんというか、こんな事をさらっと解説できるようになっちゃったボク自身がなんかいやだなぁ…。

そんな事を思ってると、地面の方には二人の人影が見えてきた。
アレは…。

「リデルとシグだって、頑張っちゃってるんだから!」

アミティの言葉通り、そこにはリデルとシグの二人がいた。

二人の目の前に地面にすたっ!と着地すると、リデルが優しい笑顔を見せてくれた。
と思った瞬間―――リデルはボクに駆けよって、ボクを優しく抱きしめる。

「アルルさん…本当に、本当に、無事でよかったです…!」

「リデル…!」

そっか。リデルはボクが王城に旅立つその日にお守りをくれて…
その前にもいろいろお話したんだっけ。

そう思うと、まだ一ヶ月もたってないのに、なんだか懐かしく感じるよ。

「アルル、久しぶりー」

のんびりと手を振るシグも、あの時と何にも変わっていなかった。
良かった…やっぱりいつもの皆だ!

「リデル、ここら辺には人形はまだ来てないよね?」

「はい、今はラフィーナさんとクルークさんがまとめて誘導してくれています。
ですが、奥の方からどんどん人形はやってくるので…

まだまだ油断はできません」

「そっか、わかったよ」

心配そうにおろおろするリデルに、アミティがにこりと微笑みかける。
そんな事をしているそのつかの間に。

リデルの言葉通り、通路の先の方から人形が飛び出してきた!
人形の数は3体…あとから敵の増援が来なければ、4対3だ。

人形はものすごい速さで飛びまわり、ボクらと面と向かうなり猛攻を仕掛ける。
次々と、あの靄みたいな魔法を僕らに打ちこんできた。

上、下、再び下かと思ったら左に二連発。その次に連続して上下左右。
ボクは軽く屈み、踏み込んだ足でジャンプして、とっさに身を翻し、必死に魔法を避けた。

もうちょっと隙ができれば反撃も多分可能だろう…でも今は、そのちょっとの隙すら見えない。
今のボクは、それぞれ人形の魔法をかわすのに手いっぱいなのだ。

ふと左のアミティの方を見ると。

必死に人形の魔法を避けるアミティの背後に、もう一人の人形が回り込んでいた。敵の増援だ。
でも前方の敵に集中していたアミティは、それに気づくのに一瞬遅れをとってしまう。

「危ないアミティ、逃げて!」

言うが遅く、アミティは文字通り挟み撃ちにされる。アミティを取り囲む二人の人形は
お互いステッキを振りかざし、ひるんで立ちすくむ彼女にあの魔法を打ちこむ姿勢に入る――――

「…と、トロンバダリア…!」

するとその時誰かが唱えた呪文とともに、右の方からものすごい勢いの竜巻がやってきた。
竜巻はボクの真横を通りすぎて、そのままアミティを襲いかけていた人形を巻き込んだ。
(どこで巻き込んだのかは知らないけど、ボク達と対峙していた人形もまとめて…)

そのまま人形は竜巻によって高くに巻き上げられて、遠くの方へ行ってしまった。
そして、声のした方には。

「…っ、はぁ…っ、や、やりましたっ、アルルさん、アミティさんにシグさん…!」

息を切らして少しふらつきながらも、やりきった笑顔を浮かべるリデル。
でも…喜びもつかの間、通路の奥からはまだまだ人形がわいてきた。今度は…2体。

リデルは瞬間的に魔力を使ってしまいほんの少し体力が落ちている。
それにあののんびりしたシグだ。魔法こそ使えてもこの人形のスピードでは追いきれないだろう。

よーし、今度はボク達の番!

「アミティ!」

「うん、オッケー!」

ボクが手を差し出すと、アミティとぱちっと目が合った。
お互い一緒に手のひらを合わせると、深呼吸して目を閉じて、お互いつないだ手と手に魔力を流し込む。

身体がふわりと、若干浮く感覚。下から巻き上げる勢いのある風。
ボクらは同時に目をかっと見開いて叫んだ。

「ばっよえーんっ!!!」

『ばよえーん』…それは、ボクが魔導学校にいたころからアミティと一緒に練習していた
合体魔法。(まぁ、個人でもできるけどね)

相手を感動させる効果を持つその魔法はかなり難しく、お互いに流れる魔力を調整したり
しなければいけないので一回も成功した事がなかったんだ。

でも、なんとなく直感でわかったんだ―――今ならできる!って。
この時、この状況だからこそ、ね。アミティもそう思ってたからきっとできたんだ!

魔法の効果はすさまじく、歪んだ空や通路一面にたくさんのキラキラとまばゆい花びらが舞った。
さすがに人形たちもその光景に足を止める。

「やった、大成功だ!」

アミティとボクは、声をそろえてハイタッチ。
…だけれどそこで攻撃を止める敵でもない。

さらに奥から湧いてきた増援が、うっとりと花に見ほれる人形達を魔法で真っ二つにしちゃったじゃないか!
そして空中を飛びまわり花びらを散々蹴散らした後、呆気にとられるボク達に襲いかかってきた。

気付いた時には時すでに遅し。人形達のステッキから放たれる魔法がボクの目の前まで飛んできて…。

「ハイドレンジア、いっけー」

のんびりと間延びした声とともに放たれる閃光。
その魔法の主の声に似合わない青い光は、人形に胸を一突きにして内側から爆発させる。

この魔法を放ったのは、シグ。本人は何食わぬ顔で、肩にとまったカブトムシとじゃれていたけど…
それにしても、すごい魔法の力だ!

シグはもともと左手と左目が赤く、その赤い手から放たれる魔法はとても強力なのはわかってたけど
(不便なのもあり、本人は普段からその手を使わないようにしている)…。

「ありがとう、シグ!助かったよー!!」

「…んー」

アミティがシグに駆け寄ると、シグは表情を変えずただ少し首を傾げた。

「でも、まだあぶないかも。
まだまだ、にんぎょう、たくさんくるー」

「そっか…そうだよね」

シグの言葉に、アミティは腕を組んで「うむむ」と唸った。
でもすぐにパッと顔を明るくする。ひらめいた、というように。

「大丈夫だよ、もうすぐあの人も来てくれるから!」

「…あの人?」

ボクが首をかしげると、アミティは「にしし」といたずらっぽく笑っただけだった。
でもなぜだかリデルもシグも納得したようにうなずいちゃって。

皆で何かくしてるんだろ?…ま、それも多分すぐわかるんだろうけど。
なんとなくボクにも見当はついてるし―――

「よおし、それじゃあ皆でなるべく進んじゃおう!」

アミティが通路を先を指差すと、皆は特に合わせたわけでもなく「おー!」っと
こぶしを振り上げる。そして皆で走りだすタイミングも、図らずも一緒だった。

しばらく通路を走ったところで、アミティが「ストップストップ!」と皆に支持を出す。
(幸い、人形とはほとんど遭遇しなかった…でも何でだろ?)

「ここら辺で待機、だったっけ?」

「はい…確かここは、安全地帯…って、呼ばれていた気がします」

安全地帯?『あの人』の話といい、さっきからなんだかボクの知らない計画が進められてるような…。
ボクがもやもやしてると、アミティが空を見上げて手を振る。

「あっ、きたきた!おーーーいっ!」

アミティにつられて、ボクたち三人は頭上を見上げる。
すると。

虹のかかった不気味な空に浮かぶランタンが、揺れた。
それも一つじゃなくて、たくさんのランタンが!

そして、広い空にポツリと緑色の点が見える。
その点はだんだん大きくなっていく―――近づいてきてるみたいだ。

それは、ボクが恐らくこの世界で一番見慣れた顔だった。

緑色のボリュームのあるショートヘアーに、赤のチャイナドレス。
二本生えた白いつのと、黄金の瞳が輝いている。

―――ドラコだ!ドラコケンタウロス!

「おーーーーい!アルルーーーっ!」

「やっほーーーーーっ、ドラコーーーーー!!」

ドラコの声に、ボクも大きく手を振る。
そっか。ドラコとも一時的とはいえお別れしなくちゃいけないんだ。

だってこれからボクは、アリアの元へ再び向かうんだから…。

って、あれ?そう言えば、さっきの作戦では王城の人たちやエコロ達もここで戦ってるはずなんだけど。
おかしいな。どこにも姿が見当たらない。

なんでだろう、さっきからボクの聞いてない話が多すぎる気がする…。

ボーっと考え事をするボクの両ほっぺを、誰かがぱしーん!と叩いた。

「あいたぁっ!」

びっくりして思わず顔を上げると、ドラコがちょっぴりむくれてボクの腕をむんずと掴む。
…あれ?ドラコともここでお別れのはずじゃ。

「アルル、あたしと一緒に行くんだよ!
あそこには王城の方たちも、悪魔…エコロだったっけ…そいつらも待ってるから!

ここでアミティたちと最後のお別れをしなよ、もう時間がないんだぞ。
皆待ってるんだから急いでいかないと」

…今のドラコの話で、なんとなく、ボクは今の状況を悟った。

ボクは、さっきキキーモラさんに話してもらった作戦を聞いて、
この通路の一直線上に魔導学校の皆やエコロ達、王都の人たち全員がいると思い込んでたんだ!

でも実際は、ここでアミティたちとはお別れ。ドラコに連れられてこれから
王様たちに会いに行くんだね。

なんだ、ボクの勘違いかあ…アリアの事ばっかり考えてて、すっかり頭が回ってなかったんだ、ボクったら。
それじゃあ…皆に改めて、挨拶してあげないとね。ここでお別れなんだから。

「…アルル?一体、」

「アミティっ!それに、リデルにシグ!」

心配そうにこちらを見る皆に、ボクは精いっぱいの笑顔を向けた。

「今まで本当に、本っ当にありがとう。

ボク…皆がいなかったらここまでたどり着けなかったと思うんだ。
きっと途中でやられてたかもしれない。

でもみんなのおかげでここまでこれた!ボクは、たぶん…
ちょっと堅苦しくなっちゃうけど…君たちに感謝してもしきれないよ、きっと」

これはホントの事。

アリアとの戦いで、アミティがあの時ボクを助けてくれなかったら、ボクは死んでたかもしれない。
それにラフィーナとクルークだけじゃない。リデルやシグだってとっても頼もしい戦いぶりを見せてくれた。

皆の活躍のおかげで、ボクは再びこんな場所までこれたんだ―――世界の中心の―――アリアの元へ。

ボクだけの力じゃやっぱり物事は動かせない。でも、今は皆がいる。
皆が力を合わせたからこその結果なんだなって、ボクは思う。

「でもね、それだけじゃない。ボクは皆と魔導学校で過ごした日々のことだって忘れやしないよ」

これも本当の事。ボクはこの世界で過ごした日常を絶対に、絶対に忘れやしない。なのに、

「だって…だって、ここがたとえ偽物の世界でも、皆笑顔だったんだもん!
ケンカやトラブルもあったけど、最後には笑いあう事が出来たんだ…」

どうして、なんで。最後のお別れなのに。

「ボクはそんな、…、皆の事をッ、絶対に忘れたくないんだから!!」

ボクは泣いちゃっているんだろう。

一度流れた涙を追うように、目から次々と涙が流れ、ほおを伝う。
…泣いてる場合じゃないよ、最後ぐらい笑顔でいなきゃ。

そう思ってボクは、手の甲で涙をごしごしと拭いた。

「だからね、皆もボクの事を忘れずにいてほしいんだ。
この世界はもう消えちゃうけれど…最後までボクの事を覚えておいてほしいんだ」

ボクの最後の、子供っぽいわがまま。
今の今までまで皆に頼りっぱなしだったボクだけど、それでも皆に覚えておいてほしい。

笑ったり、泣いたり、怒ったり…これまで皆と過ごした楽しい日々を
忘れないでいてほしい。この世界が消えてなくなるその日まで。

「…よ」

「え?」

「もちろん、忘れるわけないよっ!」

アミティがボクの両手をまとめて握る。

「アルル、君の事はもちろん忘れないっ!皆で過ごした日の事覚えてるっ!
だから…だから…お願い、泣かないで…!!」

「…そういうアミティこそ、」

泣いてるじゃないか。

アミティは顔を耳まで紅潮させて泣いていた。エメラルドの瞳からは、とめどなく涙が流れている。
その涙を、周囲のランタンがキラキラと照らしていた。

あたりを見ると、ランタンは通路のすぐ横まで落ちてきていて、
いつのまにか薄暗くなっている周囲を幻想的に照らす。

ボクは、アミティのおでこに自分のおでこをくっつける。
アミティは驚いたのか、ボクの事を上目で見つめた。

「うん…大丈夫だよ、アミティ。……ありがとう」

最後にボクは、アミティたち三人を抱きしめた―――
これでお別れなんだという実感を噛みしめながら。

「それじゃあ、行くぞアルル」

ドラコがボクの腕を引き、魔法陣が書かれてある床に移動する(というか、
こんなものが床に書いてあるなんて今まで気づかなかったよ、ボク…)

そこに書かれてある魔法陣を踏んだ次の瞬間!

辺りがまぶしい光の粒に包まれた。その粒によって、アミティの姿が掻き消えていく。
すべてが光の粒によって包まれるその時。

ボクは自然と目を瞑っていた。


「…!!」

目が覚めると、そこは…まるで宇宙のような…星々が瞬く空間だった。
ボクはその中を、魔法陣に乗って突っ切っている。

「ドラコ、これからボク達は、王城の人たちに会いに行くんだよね?」

「ああ、そうだぞ。この世界の主ってやつはは自分の空間?…に自分から閉じこもっちゃったらしい。

そこの状態を王様が魔力で保持してる。要は今アイツは閉じ込められてるみたいなもんだ。
でもそれもいつまでもつか解らないってさ。

あたしも出来るもんなら残りたいと思ったけどさ…よくよく考えてみればここのアミティ達とは
もう会えないわけじゃんか。だから様子見がてらあんたを迎えに行くことになったんだ」

「そう…だったんだ」

もうすぐ…王城の人たちに会って。それで、そしたらいよいよ最後だ。
きっともうチャンスもないだろう。これが…ホントの最後の戦いなんだ、よね。

大丈夫、ボクはちゃんと皆の気持ちを受け止めた。心の整理もだいぶできてきた。
まだちょっぴりドキドキするけど…きっと、きっとできるよね!

色んな事があったけど、ここまでたどり着いたんだ。
ここまでの皆の想いを、そして、ボクの思いを踏みにじらないように。やりとげるんだ。

「もうすぐ付くぞ、アルル!」

ドラコの言葉に、ボクはうなずいた。
そしてここに来た時と同じように、辺りが光の粒に包まれた―――。









続く









…ハイ、お待たせしました!ぷよ小説12話です。

何と前回の更新から約二ヶ月。お待たせして本当に申し訳ございませんでした…。
(色々と多忙な面もあり、なれないアクションを書くのに苦労した面もありで…)


さて、気を取り直して!

一年以上(!)続いたこの物語もいよいよ次回で最終話。
(まあ、予定しているエピローグの話数を含めると残り2話な訳ですが…。)

はたしてアルルはアリアとどうやって向き合うのか。
そしてアリアとエリザ、時空の理に逆らった二人はどうなってしまうのか。

実質的な最終話である13話は、四月の下旬~五月上旬ごろにアップ予定です!
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