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2015.07.06

Blume der Reise #1

どうもどうも、ついに始まりました、久しぶり(爆)のオリジナル小説です!

その名もBlume der Reise(ブルーム デア ライゼ)。
ドイツ語で 花の旅路 という意味(になっているはず…)です。

今回は昔書いたあの小説とは全く別の世界観でやっていこうと思っています。






それでは、追記よりどうぞ!





















まずはっきり言おう。これだけは断言できる。

わたし東雲 霞はれっきとした中学2年生である。


まず朝は6時30分きっかりに起きて朝の支度に悠々と一時間かけ、
それから友達と、毎朝7時50分に商店街前の交差点で待ち合わせているのでそこに向かう。

友人氏と朝の談義を嗜みながら登校し、あとは…まぁ、ごく普通に授業を受ける。
私は家庭科部に入っているので、部活がある月・火・金には活動場所の被服室に行く。

部活を終えたら、後輩たちと他愛もない話をしながら家に帰宅。
そしたら家ではお母さんが待ってて、そのうちお父さんや高2の兄も帰ってくる。

そしたら皆で食卓を囲み、あとは風呂に入って寝るだけ。

うん。普通の日常だ。

そう。ここまではごくごく普通だ。



…さて、そんなごく普通のわたしが置かれている今現在の状況を見てみましょう。

辺りは360度木のような何かに囲われている。
というのも、これは木ではない。むしろオブジェ的な何かだ…!

なんかほっそーいガラス棒みたいなのの先が割れてすだれ状になってて、
その先っぽの方に赤、青、黄色などなど色とりどりの電球(のようなもの)がつり下がってる。

しかも足元には草が鬱蒼と…ではなく、つるーっとしたガラス板みたいになってます。
木はそこから生えてるみたいで、根元の方はドーナツみたいにぽっこりと膨らんでて。

………

………いやつか。

なんなんですかこの状況なんなんだこの世界…!!

なぜか冷静に解説してるけど文字にしたらひどい!ひどいです!
一面の謎フローリングにぽこぽこ生えるガラスの樹木ですよ!!なんだこれ!

ふとここに来た瞬間、私は昔家族で行った某ネズミーランドを連想した。
ほら、こんな場所なかったっけ。なんていうか、こう…近未来的なそういうやつ。無かったか。

そう、ここは夢の世界なのかもしれない。中二の頭じゃ追いつかないこの物理に逆らった空間は。
もしかしたら何かのグラフィックやらの類でできている可能性も…ん?夢?

もしかしてこの世界が夢オチである可能性が微粒子レベルで存在している…?
そう考えてわたしは自分の頬をひっぱたいてもみた。

頬に手あとが残るだけだった。

ということはこれは夢じゃないのだろうか。
これが?この現実的に考えて95パーセントくらいはあり得ないであろうこの状況が??

待てよ落ち着け、落ち着くんだ東雲霞。
こうなったのは何か理由があるからだ。きっかけを思い出せ。

木々の枝の隙間から垣間見える空をさえを覆うのは、灰色の雲。
こんなドタ混ぜの世界にも『普通』のものがあると気付いて、少し安心した。

そう。今にも雨が降ってきそうなあの空模様はどこか見覚えがある。
もしかしたら、私はあの時…。





天気予報が大ウソをついた。

午後5時から降る予定だった雪は既に、正午にはその猛威を存分にふるってらっしゃるご様子だった。
…とは言っても、それこそ本場にはとてもとてもかなわなかったが。

何せここは神奈川県の海沿いに位置する中学校。
ここら辺は神奈川の方かの地域よりも暖かいし、雪なんてめったに降らない。

まぁその分、久々の雪に皆は大盛り上がりな訳で。

うちの学校の校舎はつい最近立て直されたばかりで、まだまだデザインも新しい。

校内は全面ガラス張り。廊下は広いしとてもきれいだ。
もちろんお手洗いは全部洋式なので、和式嫌いの女子たちに好評である。

まぁそんだけ廊下が広い+ガラス張りなので見通しがいいというのもあってか、
その日の昼休みはほとんどの生徒が窓側によって、降りしきる雪を眺めていた。

その群集に交ざらなかったのは…北海道や北陸、東北辺りの出身(うちの学年に3人いる)の人か、
雪にトラウマのある人ぐらいだろう。

彼ら彼女らはたいてい暖房のきいた教室で、うだうだと時間をテキトーにやり過ごしている。

ちなみにわたしは、後者だった。


実は幼いころものすごく恐ろしい目に遭わされて(思い出そうとすると恐怖で頭痛が痛くなるので割愛)、
それ以来、雪は唯一無二のわたしの弱点だ。

「あ―あ…嫌な天気だねぇ」

間延びした声で話しかけてきたのは、親友の妙子。
親友っていうより、幼馴染かな。妙子とは幼稚園のころからの付き合いでさ。

クラスの女子でも一番背が高くて、おまけに空手を習っているため腕っぷしも男子に負けてない…
けど本人は至ってマイペースで、何をするにも行動が皆よりワンテンポ遅い。

だからいつもわたしは妙子を引っ張る役回りだ。
日常的にも、集団行動的にも…会話的にも。

「やな天気…とはちょっと違うと思うんですけど」

「ええ~そうかなあ?ま、別にうちは嫌いじゃないけど~」

「どっちだよ」

「ま~なんだかわくわくするしね~。雪なんて、ここら辺で珍しいじゃん」

「…ほら、やっぱ妙子だって嬉しいんじゃん。
まあ、ほら。わたしは別に雪がどうとかは関係ないけどさ、その…
こういう寒い日にこそ教室で大人しくしてるのがいいっつーか…」

「いやいや、だって嫌じゃない~?かっちゃんてきにさぁ~」

強がる私にクリティカルヒットする代物を言ってのける。恐ろしい奴だ。
ごくごく稀にこの幼馴染はやけに包容力の高いお言葉をわたしにプレゼントしてくださるのだ。
(かっちゃんとはわたしのあだ名である。霞の「か」の字からとられたのだろう)

その結果として、

「…心配してくれてんの?」

「まぁね~。ほら、こういうときは私が気を使ってあげないと!幼馴染だもんねぇ~」

「お、おぅ」

「幼馴染だもんねぇ~~~…?」

「………はい」

こうなる。

わたしが引っ張るはずの会話はいつだか妙子を中心にして回る。
あれか、物理的に力が強い方は会話を引っ張る力も強いってことですかそうですか。

「でも、ホントごめん。もしあれならわたしなんかに構わず雪見てきてもいいのに」

「いいんだよ~。だって、かっちゃんは私以外に話す子いるの~?」

「い、いいいいいるさ!!ほら、おんなじ家庭科部の桜ちゃんとか悠子ちゃんとか!」

「あの子たちは他のクラスだね~。さっくーは3組だしゆうゆうは1組だよ~」

「え…っと、ほら、わたしには無論可愛いベリベリキュートな後輩たちもいますし!」

「でも~、放課後以外は他の学年の階に降りちゃだめって校則あるじゃん~」

「…………うぐぐ」

友達が少ないという弱点をつつかれ反論に悩んでいると。

冬って気温が低いから何かとトイレが近くなる症状、あるじゃないですか。
そんな訳でなんとなしに尿意が込み上げてきた。

すっくと椅子から立ち上がり、

「…ごめん、ちとトイレ」

「おっけ~!いってらっしゃいな~」

「へいへい」

「トイレの世界に引き込まれないでよね~」

「どこのSFだ!?」

呼びかける妙子を横目に、私は教室を出た。

昔私が読んだ怪談話の本に、『トイレの便座に長い事座っていると、トイレの中にいる花子さんが
便器から手を出して、トイレの世界に引きずり込んでしまう』という話があった。

今考えると笑える話ではあるが、当時小学生だったわたし含めたちびっ子は、まとめて震えあがったものだ。
いやでもあるもんなら行きたいぞ、トイレの世界。

なんなんだろう。夜空にきらめくのはお星様の代わりに大小さまざまなお便器とか。
そして街の真ん中を流れるのは下水の川……なんだこれもうやめよう。現役JCが考えるには大分汚い。

そしていうならSFじゃなくてWFか。W(ウォシュレット)F(ファンタジー)。

そうした下らない事を考えながら(こういうこと考えてないと外の雪に目がいっちゃいますってホント)、
人気の多い廊下をまっすぐ進んでいた…はず、なのに。

「…おろ?」

某人斬り抜刀斎的な疑問形がわたしの口からついて出た。

いやだって、目の前の廊下には人がいない。ガラッガラ。
まぁさすがに皆窓側に張り付いてるか…と思い後ろを振り返ると。

なんと窓の方にも誰もいなかった。

…もしかしてもう休み時間終わり?
そうとも考えたけれど、すぐにその仮説も消えた。

休み時間の終わりを告げるチャイムの音も聞いていない。
ましてや校内で聞きそびれたなんてことはまずないだろう。

あれ、じゃあ一体どしたの?…まさかの学年全員が神隠しですか。末恐ろしいわ。

思考回路を巡らせながらきょろきょろとあたりを見渡すと、

「おわぁぁっ?!?!」

思わず声を上げた。

それもそのはずだよ、だって窓の外で降っていたはずの雪が固まってる…
というか、まるでそこだけ写真をはっつけたみたいに動いてないの。

ふぇぇなんですかこれ。こうやって見ると雪もあんまし怖くもないけど
このシチュエーション自体が恐怖なんで相殺されてますよ。色々と。

え?何これ?みんなはどこに行ったの?
いくら降雪恐怖症だからってあの賑やかな廊下をほぼ目を瞑って歩いたのは反省するよ。

でも、わたし、それ以外になんにも…

「おやおや、こんなところにいましたか」

「ふぇぉっ?!」

思わず変な声を出して振り向くと。

「探しましたよ、東雲霞さん」

そこに立っていたのは、非常に不思議な格好をした男の人だった。

軍服?…っていうのかな。金のボタンがばっちり付いた黒い上着の下には、
白いシャツ。よく見ると、上着にはいろんなバッジみたいなのをじゃらっと付けていて。

パッと見てなかなか洋服をかっちりきこなしてる?と思ったけど、一瞬で撤回した。

赤いネクタイは上着の上にだらんと垂れさがっていて、
おまけにかぶっているのはそのお洋服にはあんまり似合わないベレー帽。

フォーマルなのか普段の着こなしなのか。どっちなんだよと脳内でツッコむ。

んで顔はというと、それがすっごいイケメン。

薄い茶色のまっすぐな髪を顔の両端にかかるくらいに伸ばしてて、
大きな瞳は目にも鮮やかな青。しかもすごい色白だし。

あんまし一般女子受けはしなさそうだけど、そのヘンテコな服装も相まって
なんかアニメか漫画から出てきたキャラクター…みたいな感じ。

…ておい、今はそういう事を気にしてる場合じゃないって。
周りの空間が固まって動かず友人やクラスメートは全員どこかへ消失。

そして戸惑うわたしの目の前に現れたのは漫画のキャラクターみたいな格好をしたお兄さん。

どうあがいても明らかに異常事態ですよ。どうしましょうか。
どうしようもこうしようもありません。ぶっちゃけ状況を整理すると、

…この人だよね、なんか知ってるとすれば。

この状況で動けるのはおそらく私とこの人だけな訳だし…、
そうときまれば何も決まってないけど聞いてみよう。

で。


「…ちょっと待ってください。なんでわたしの名前知ってるんですか」

「え?それは、だって」

どもる彼に、失礼ながらも質問を重ねる。
ごめんなさい、こっちにとっては非常事態なんです。

「てかなんでこの学校にこうやすやすと入ってこれちゃってるんですか?
…あなた明らかに学校関係者ではないですよね」

「それは、じゅう」

あーもうどもるな!!はっきり喋れ!!男だったら女子中学生との口論に負けんなひとりっ子か!!
というとても理不尽な怒りの気持ちがわいてきたため、さらに質問を。

「あなたは誰ですか、それでもってこれはどういう状況なんですかッッッ!!!」

「…………」

一瞬流れる沈黙の後。

「…落ち着きましたか?」

「…………はい」

なぜかお兄さんになだめられる私がいた。

お兄さんはこほんと咳払いを一つして、懐から大きなバインダーみたいなのをとりだし、
何枚か挟まれているプリントをぺらぺらとめくる。

「おかしいですね、署名はしてあるのに…」

「…え?」

署名?何が何だか。
署名も何もわたしはそんなもの何もしてないませんけれど。

「いったい何の話でしょうか…?」

「あなたの名前は、東雲 霞さん…そうですよね?」

「え、あ、はい」

質問を質問で返され、思わず返事をしてしまう。
いやだからなぜわたしの名前を知ってるのかと。わたしのお名前は復唱しなくていいですから。

…え、それも何?署名ってやつが関係しとるんどす?
わたしの名前がそこに署名してあるからあなたは私の名前を知ってると。そういうことなの?

いやでもわたし署名なんて決してやってないぞ。決して。
わたしは実際そんな覚えなんて無いし、このご時世の中そうやすやすと
個人情報を漏らす人なんて…あんまし、いないだろう。

わたしが考えながら頭を抱えていると、

次の瞬間、

『おうぇぇぇぇぇぇしゅつるっうおぽぉぉぉぉぉ!!!!!!!!くるつし!くるつし!くるつし!くるつし!』

いきなりとんでもない珍妙なブザー音が大音量で鳴り響いて、
わたしの考え事が全部吹き飛んでしまった。

すると、今まで平然と儚い表情を湛えていたお兄さんの目に焦りの色が浮かぶ。

「おっと、もう時間のようですね」

「え、時間って何の事で」

「話は後です、もうここには居座れないようですので」

「は??え???」

ここに居座る?っつーことはやっぱお兄さんは別のどっかから来たってことですか。

いやじゃあ別のどっかってどこだよ。何、未来の世界からとか別のなんちゃらを飛び越えてやってきましたとか。
…それこそファンタジーじゃないですかー!やだー!

てかそのひたすら荒ぶるブザー音を止めてくださいませんか?どこから出てるのか知りませんが
くるつしってなんですか。わたし人類なので異界の言葉はわかりません。

もうこの辺境に広がるブザー音に対処しきれてないわたしに、お兄さんの白い手が伸びて。

「…さぁ、僕の手をとってください」

「…は、あの、いや」

いやこの非常事態にプロポーズごっこ的な何かははやめてください。
それよりも、このやかましいブザー音を止め―――

「急いでッッ!!!」

「!?はいっ!」

お兄さんの突然のものすごい剣幕に気圧されて、思わず彼の手を握る。
その次の瞬間。



突然周りの景色がぐにゃりとゆがんで、全部何もかもがぐちゃぐちゃになって。
練っておいしいあのお菓子みたいにマーブル状になっていく。

「ふわ、あわわわわわ、うわああああ・・…!?」

あわてて思わず挙動不審になる私の頭の中に、お兄さんの優しい声が聞こえてきた。

「大丈夫です、落ち着いてください。
…ちょっと『あちら側』へ向かうだけですから。すぐ着きますよ」

…あちら側?それってどこですか。
聞こうとしたほほの筋肉がふと緩んで、ふにゃふにゃふにゃっと発音できなくなる。

「目を瞑ってください。落ち着いて、心を静めてください。
そして深呼吸をするのです」

言われたとおりに目を瞑った。当然のことながら、瞼をつむれば今私の目の前で起きている
混沌とした出来事もシャットアウトされた。

でもなんだか、それだけで安心した…そのままほっとして、ふと気を抜いてしまえば眠ってしまいそうで。

目を瞑っていると、感じられるのは自分自身だけ。
だんだん周囲のブザー音も遠くなっていって、ついには何も聞こえなくなって。


わたしは徐々に眠りに落ちて行くように、沈んでいった。
ずぶずぶとそれにはまる感覚が、身をもって伝わってくる。

ずぶずぶ、ずぶずぶ、ずぶ。

はまって、はまって、沈んで。




―――その感覚こそ、わたしが元の世界で覚えている唯一の感覚だった。









続く










という訳で、オリジナル小説第1話!いかがだったでしょうか?

久々に口調縛りなしで書けるということで、主人公の霞ちゃんには
存分にしゃべってもらいました。そこそこフリーダムです。

今回は短い間隔で更新できるよう、毎回6000字あたりを目安に書こうと思っていますので、
前回書いていたぷよ小説よりちょっと短く感じられるかも知れません。

(ちなみにぷよ小説は大体一話あたり7000字~8000時くらいでした)

さてさて、次回のオリ小説更新は8月の中旬ごろ!(初めのころはわたしの諸事情により更新できなさそうです)

霞と謎の青年は、いったい『あちら側』で何をするのでしょうか?
また、謎の青年の正体とは?

色々な意味で説明回となろう第2話、お楽しみに!
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